特にございませんは正しい日本語?履歴書の特記事項に何も書くことがない場合
履歴書の特記事項欄は、多くの人が何を書いてよいかわからない項目です。
履歴書に空白のスペースがあると印象が良くないと言われるため、それでは「特になし」でよいのかと疑問に思います。
しかし、「特になし」では丁寧な言葉に見えません。
では、「特にございません」とすれば丁寧になるのでしょうか。
しかし、これは日本語として正しい表現なのでしょうか。
履歴書の特記事項欄には何を書く?
まず、履歴書の特記事項欄の意味を確認しておきましょう。
「特記」事項というように、履歴書の他の項目に書くことではないが、特に記しておくべきことを書くための欄です。
履歴書の仕様によって文言はさまざまで、「本人希望欄」や「備考」などとなっている場合もあります。
いずれにせよ、希望の勤務時間や勤務地、入社日、または、持病の有無などを書くのが一般的です。
なお、勤務についての希望は特記事項欄に記してかまいませんが、給与など待遇に関する希望は控えた方が無難でしょう。
それがどうしても譲れない条件で、それが叶えられないなら辞退するぐらい重要なことでなければ、「待遇等は貴社の規定に従います」などとしておきましょう。
ただ、あえて書かなくてもかまいません。
また、特記すべきことがなくても、そのまま空欄で提出するのはおすすめしません。
空白の多い履歴書はやる気や熱意がないと捉えられる恐れがあるため、特記事項がない場合も、空欄ではなく「特になし」などとするのが一般的です。
なお、特記事項欄を使って自己アピールすべきという意見もありますが、すでに自己PR欄や志望動機欄で十分アピールしているのであれば、無理に特記事項欄を使ってまでアピールしなくてもよいでしょう。
スポンサーリンク「特にございません」は「特になし」の丁寧語?
特記事項がない場合は「特になし」でよいのですが、冒頭でも述べたように、「特になし」ではあまり丁寧には見えません。
そこで登場するのが「特にございません」です。
「ございません」とは、「ありがとうございます」などに見られる「ございます」の否定形です。
「ございます」とは「いる」や「ある」の丁寧語なので、「ございません」とは「いない」「ない」という意味であり、少し丁寧にすると「いません」や「ありません」になります。
ですので、「特にございません」は、「特になし」を丁寧に表現した形となります。
履歴書の特記事項に「特になし」と書くことに抵抗を感じるのなら、「特にございません」としておけばよいでしょう。
「特にございません」は履歴書にも書ける正しい日本語
ただ、「特にございません」は日本語として正しいのかと疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
そう感じるのはおそらく「とんでもございません」と同じ印象を受けるからではないでしょうか。
ご存じの方も多いですが、「とんでもございません」は日本語として正しくない表現です。
そもそもの「とんでもない」という言葉は、「とんでも」が「ない」のではなく、「とんでもない」というそれだけで一語を形成する形容詞ですから、「とんでもございません」と単語の後半だけ丁寧語にすることはできません。
「もったいない」を「もったいございません」としないのと一緒です。
なお、平成19年に文化審議会が、「とんでもございません」の使用を「敬語の指針」にて問題ないとしました。
しかし、本来は間違った用法であり、今もそう認識する人が多数いることを覚えておきましょう。
「特にございません」はそれとは違います。
『「特に」書くべきことは「ございません」』という意味で「特にございません」ですから、「特になし」の丁寧語として書き換え可能です。
履歴書の特記事項を始め、何かの書類に記入する機会に「特になし」では不躾だと感じるのであれば、今後は「特にございません」と書いてみてはいかがでしょうか。
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