経歴紹介で「歴任されました」が使えるシーンは少ない
人の経歴の照会で「歴任されました」という言葉を聞くことがあります。
しかし、この言葉を使えるシーンはとても少ないのです。
言葉の意味合いを知り正しい用法で使用するようにしましょう。
相当なポストの官職を複数こなしたことを「歴任」という
まず歴任という言葉の本来の意味ですが、高い官職を複数こなした経歴を表します。
つまり、一般企業の人がいくら社長職を渡り歩いたとしても、本来であれば「歴任」という言葉を使ってはいけないことになります。
ただ現在はある程度重要なポストを渡り歩いてきた場合には「歴任」という言葉を使うケースが増えてきています。
例えば大企業の重要職を渡り歩いてきた人や、理事長職などを渡り歩いてきた人の経歴を紹介するときに「歴任されました」を使うことがあります。
この場合も相当重要なポストを複数任されてきたという経歴が必要です。
例えば上昇志向が高い人が、今のポストにはまだ満足できていない場合に「歴任されました」と紹介されると不愉快な気持ちになる可能性があります。
敬語表現としてはかなり難しい言葉の使い方といえます。
スポンサーリンク間違えやすい使い方
歴任という言葉は比較的間違えた使われ方をすることが多い言葉です。
正しい用法を知っている人からすると「常識がない」と感じられるかもしれません。
そこで間違えやすい使い方を例にあげ正しい使い方を学びましょう。
誤:弊社の社長は代々創業者一族が歴任しております。
歴任という言葉は1人の人が渡り歩いてきた経歴を表すため、一つの役職を複数の人が務めてきたことを表す使い方は間違えています。
正:弊社の社長は代々創業者一族が務めてきました。
このように表現をしたほうがよいでしょう。
誤:彼は官僚として23年目に課長、28年目には審議官を歴任し、30年目に局長になりました。
中央省庁の官僚であれば歴任という言葉を使っても良いように感じるかもしれませんが、同じ省内で通常の出世モデル通りに昇進してきた経歴のことは歴任とはいいません。
正:彼は官僚として23年目に課長、28年目には審議官を任じられ、30年目に局長になりました。
任じられるという言葉自体が官僚の仕事を任せられるという意味合いがあるため「任じられ」が妥当でしょう。
誤:私はA社で課長、B社で部長補佐を歴任してきました。
大前提として課長や部長補佐が相当なポストに当たるとは考えられませんので明らかな誤用です。
また歴任は自分で使う言葉ではありません。
正:私はA社で課長、B社で部長補佐を務めてきました。
シンプルにこのように経歴を紹介したほうがスマートです。
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