「アレ」の名前って?意外と知らない、フランスパンの切り込みの正式名称とその効果

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香ばしく、バリッとした歯ごたえが美味しいフランスパンですが、その皮の硬さと同じく欠かせない要素があります。

 

それが、フランスパンの胴に数筋入っている切り込みです。

 

フランスパンの切り込みのお陰で、フランスパンはただの硬い棒状のパンではなく、模様のようでもあり、焼き上がりによっては白から茶色への絶妙なグラデーションのかかった色合いを持ったパンとなります。

 

しかし欠かせない要素ながら、あの切り込みの「正式名称」やつける意味は意外と知られていません。

フランスパンの切り込みの正式名称は「クープ」!

フランスパンの切り込みの正式名称は「クープ」です。

 

焼く直前の生地にナイフで細く入れるものであり、クープそれ自体はフランスパンに限った技法ではありません。

 

同じ皮が硬いカンパーニュやバケットに入れる切り込みも同様に「クープ」です。

 

クープはフランス語で「coupe」、「切り取られた」という意味を持つパン作りの工程です。

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どうしてクープが必要なのか

生地にクープを入れる理由は「パン生地を膨らませる」「火の通りを良くする」「見た目を良くする」、この三点です。

 

まず「パン生地を膨らませる」のは、これはクープを入れるフランスパン系生地の特性の為です。

 

フランスパン、カンパーニュ、バケットといった皮が硬い=ハード系のパンは「リーン(lean)なパン」と定義されます。

 

パンの基本的な素材である小麦粉・塩・水・イーストで作られる、いわゆるバターや牛乳といった乳製品や卵・砂糖といった副材料を使用しないパンです。

 

油分を含んだパン、いわゆるリッチなパンは膨らみやすく柔らかいのですが、リーンなパンは膨らむ力が弱いので、そのまま焼くと生地の継ぎ目といった弱い所からランダムにひび割れたパンとなってしまいます。

 

あらかじめクープを入れる事によって、裂け方に指向性を持たせられるのです。

 

「火の通りを良くする」のも、このパン生地の膨張に関わりがあります。

 

生地の内側にある水分がクープから蒸発していくので、フランスパンに特有の大小さまざまな気泡が生じ、生地の食感が軽くなります。

 

「見た目を良くする」のは、「飾りクープ」とも呼ばれる技法です。

 

膨張する焼き上がりをイメージして切り込みを入れる事で、葉っぱのような模様や羽のような模様を入れられます。

 

通常は実用的な深めのクープを入れた後に、空いている生地の表面に浅く模様が入れられています。

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