理念と概念、コンセプトの意味、違いを解説

理念、概念、コンセプト、これらの単語は企業が方向性を示す時などに使われやすい言葉で、全体的な方向性は似ているものの、それぞれ意味は異なるので注意が必要です。

3つの単語の意味や使い方、違いについて知り、適切に使えるようにしましょう。

理念は理想と同じような意味だというイメージがあるかもしれませんが、大きな差があります。

まず、理想は完璧な姿、最高の状態という意味ですが、必ずしも行動が伴っているとは限りません。

理想像を描いてはいるものの特に努力をしていないなんてこともあるように、理想はあくまで思い描くパーフェクトな姿であり、現実の姿と大きな差があることも珍しくはありません。

一方、理念は特定の物事についてこうあるべきだという考えのことであり、多くの場合に行動を伴うのが理想との大きな違いです。

企業理念であれば、このような姿を目指すべきだと企業が提示することであり、その企業に勤めている社員はその考えを共有し、実行する必要があります。

また、提示された考えから大きく外れることは問題で、守らないといけない約束事とも言い換えられるのです。

一方、概念は特定の物事に対して多くの人がイメージする共通認識のことで、概念は一般常識に近いニュアンスを持っています。

企業理念は社員の間の共通認識ではあるものの、その考えは主観的な要素が強く、別の企業では全く異なる考えを掲げている場合も多いため、概念とはまた異なるものです。

また、概念は一般常識のように誰もが知っている知識を指すとは限らず、抽象的なものという意味合いを持つこともあるので、ややイメージしにくい言葉です。

コンセプトは日本語にすると意図、構想といった意味合いで、理念と似てはいますが大きな違いがあります。

理念は根本的な方向性を指しており、コンセプトはより具体的な設計図のことを指すと考えてください。

企業の場合、理念は社員が目指す方向性、コンセプトはその考えを実現するための事業内容のことです。

どれだけ綿密に計画立てようと事業が成功するとは限らないため、コンセプトは変更される場合もありますが、目指す方向性は基本的に変わりません。

コンセプトは失敗に応じて変更しても構わないものですが、根本的な方向性は変えると関係者に大きな戸惑いをもたらします。

そういう意味では、理念は今後の道筋を決定づける最も大事な要素であり、コンセプトは目指すべきところにたどり着くための具体的な手法と言えるでしょう。