浄化槽利用にかかる「放流負担金」って?排水の種類と利用の仕組み

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売家情報を見ていると、設備項目の中に「下水道」「浄化槽」「汲み取り」という排水方式の違いが記載されています。

 

普段利用する上ではあまり気にならなくても、これらの設備はいずれも異なる排水方法・管理方法があります。

 

特に「浄化槽」については「放流負担金」が付随するのも大きな特徴です。

 

1つ1つ、排水方法の違いを確認していきましょう。

下水道とは

下水道は都道府県、市町村が維持管理・整備を行っている排水施設です。

 

家の中で生じる汚水は地中に設置された下水管のゆるやかな傾斜によって流れ、下水処理場へと運ばれて行きます。

 

そこで綺麗に処理された水が川や海へと戻されるのが下水道の仕組みです。

 

また、下水道が通っている地域では、下水管とは別に「雨水管」というものが整備されている事もあります。

 

こちらは大雨が降った時に、街の浸水を抑えるために道路脇にある側溝、雨水マスへ雨水が流されて行きます。

 

そして下水道と同様に、地中に併設された雨水管によって川や海へと流されます。

 

下水と一緒にしない、分けて流すことから「分流式」と呼ばれ、逆にどちらも地中の下水管で一括して流してしまうのを「合流式」といいます。

 

下水道を作ったのが1970年以前の町では合流式が多く、以降の町では分流式が多くなっています。

浄化槽とは

浄化槽は、下水道が整備されていない・下水道に接続工事を行っていない場合に使われている、その家の敷地内に埋めるタイプの排水処理槽です。

 

生活排水は浄化槽を通じてきれいな水に処理され、その後側溝を通じて川などに排水されます。

 

浄化槽は年2〜3回の定期点検と、年1回の汲み取り清掃が行われます。

 

これらは浄化槽を管理する管理者、家主が行いますが、自治体によって補助金が補填される場合もあります。

 

浄化槽の放流先は川の他にもう一つ、水利組合が管理する水路である場合があります。

 

その場合に発生するのが「放流負担金」です。

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放流負担金とは

川が遠い、通っていない川において、浄化槽からの排水の受け入れ先は農業水路になりがちです。

 

しかし元々排水の為に作られた水路ではないので、加入時・年額に「利用料」として放流負担金が発生します。

 

農業用水路は水利組合によって維持管理が行われ、その中には清掃、除草、補修といった作業・工事が発生しています。

 

それらは本来の農業用水路の為に行われている作業ですが、そこに浄化槽からの排水も受け入れている以上は、維持管理に貢献する必要がある、その為に支払うのが放流負担金となります。

 

また、放流負担金とは別に「排水負担金」が別枠で設定されている事もあります。

 

これは自治体によって様々なケースがありますが、多くは同じ所に2重で支払うのではなく、それぞれ「別の水路」に排水する事からこうした負担金が発生しています。

 

下水道が分流されているように、浄化槽を利用している地域においても生活排水と雨水とで流れる水路が別になっているケースです。

 

より厳密には「浄化槽排水放流負担金」と「雨水排水放流負担金」が別れている、という事になります。

 

知らない、支払いたくない、と言っても昔から水路に関して認められてきた権利であり、訴訟となっても支払わない側が負ける事が殆どです。

 

しかし、近年では「事務所に支払いに行ったら「もう放流金は支払わなくて良いですよ」と言われた」など、放流負担金について見直しがされている地域も存在しています。

汲み取り式

汲み取り便所、ボットン便所が通称である汲み取り式は、トイレ以外の生活排水を側溝に流し、し尿(排泄物)を便槽と呼ばれるタンクに溜める排水方式です。

 

便槽は定期的にバキュームカーで汚水をくみ取る必要があり、簡易水洗式ではより便槽が溜まるペースが早まります。

 

汲み取り式は非常時にも変わらず使える利点がある反面、臭い、衛生面で気になる点もあります。

 

汲み取り式から浄化槽への切り替えには自治体の補助金制度が利用できます。

 

年間の点検、整備清掃も発生しますが、上記の問題点が気になる人は検討してみましょう。

 

ただし、自治体によっては「新築の浄化槽設置には補助金が発生しない」、「汲み取り式からの切り替えのみ補助金が利用できる」など、細かく利用できるルールが異なっています。

 

更に、年度で予算が定められているので申請者が多い場合には予算が尽きてしまい、後からの申請が通らなくなる事もあります。

 

補助金制度を利用しない場合にも、汲み取り式からの転換そのものにも設置届が必要です。

 

これも自治体によって「使用の○日前」「使用開始から〇日以内」と出す期限が定められているので、漏れのないよう、自治体の担当窓口で細かく確認しておきましょう。

 

こうしたリフォームにかかる費用は、80〜200万円と幅があります。

 

設置する浄化槽の大きさ、その大きさに応じた埋設工事代、トイレの交換工事費用などが発生する為です。

 

工事自体はトイレ周りだけならば長くとも2週間程度で終わる事が殆どですが、お風呂の交換工事、キッチンの水回り、外壁を含めたリフォーム等を含めると、工事期間は30〜60日かかるようになります。

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