簡易水洗トイレのメリットとデメリットについて
汲み取り式トイレをリフォームすることで、簡易的に水洗トイレのようにすることができます。
この簡易水洗トイレにはメリットやデメリットがあるため、きちんと把握して工事を検討するようにしましょう。
簡易水洗トイレとは
簡易水洗トイレとは、水洗式のトイレと同じような使用感を得ることができるように造られた汲み取り式のトイレで、主に下水道の整備が整っていない地域で使用されています。
汲み取り式トイレとは、水洗式のトイレのように汚物を流水の力によって浄化槽や下水道に流すのではなく、汚物を便器にあけられた穴に落とすことにより、タンクに一時的に貯蔵するという構造となっています。
タンクに貯められた汚物は、定期的にバキュームカーなどで汲み取り作業を行い、洗浄します。
この作業の工程が汲み取り式トイレの名前の由来となっており、別の呼び方としては、汚物がぼっとんと穴に落ちる様を表現して、ぼっとん便所と呼ばれています。
簡易水洗トイレはこの汲み取り式トイレと水洗トイレを足し合わせた構造になっており、水の力で汚物を流し、便器を洗浄します。
しかし、浄化槽や下水道に流れるのではなく、汲み取り式用の貯蔵タンクに水と汚物が溜め込まれます。
そのため、通常の汲み取り式トイレと同じく、バキュームカーなどでの汲み取り作業が必須となります。
簡易水洗トイレを設置している家庭は汲み取り式トイレからのリフォームがほとんどですが、下水道の設備が整っていない地域で、かつ浄化槽を設置することが不可能な場合は、新築の家にも簡易水洗トイレが取り付けられることもあります。
簡易水洗トイレを設置するメリット
1つ目のメリットは、リフォームの費用を安く抑えることができる点です。
汲み取り式トイレを一般的な水洗トイレにリフォームした場合、浄化槽の設置などトイレの構造を大きく変更する大規模なリフォーム工事が必要になってしまうため、その工費は80万円〜200万円と莫大になってしまいます。
しかし、簡易水洗トイレへのリフォーム工事は主にもともとあった汲み取り式トイレの構造を崩さないため、水洗トイレにリフォームした場合の約半額から3分の1となる、40万円〜60万円程度で済ませることができます。
2つ目のメリットは、工期が短いということです。
前述の通り、汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームする際は大きな工事が必要になります。
そのため、工期も1週間から2ヶ月と長くなりがちです。
しかし、簡易水洗トイレにリフォームする場合は、水洗トイレよりも短い工期で終えることができます。
とは言え、新たな便座の設置の他に水回り関係の工事が必要になってくるため、3日から5日間程の工期を要する所が多くなっています。
スポンサーリンクそして、3つ目のメリットは清潔感です。
汲み取り式トイレはその構造上、汚物の貯蔵タンクに繋がる穴は塞がれておらず、その穴から悪臭が逆流してきたり、虫などの発生が起こるなど、衛生面においてあまり良くない状態と言えます。
しかし、簡易水洗トイレは貯蔵タンクとの間を水で塞ぐため、悪臭の逆流や虫の発生を最低限に抑えることができます。
さらに、便器も洋式のきれいなものに変えることもでき、お金をかければ、水洗トイレについている便座ヒーターやウォシュレットも使用することができます。
簡易水洗トイレを設置するデメリット
工費が安く済み、工期も短時間で終えることのできるメリットの多い簡易水洗トイレへのリフォームですが、もちろんデメリットも存在します。
1つ目のデメリットは、汚物の汲み取り作業の頻度です。
便器の洗浄などは流水で行う水洗となっていますが、基本の構造は汲み取り式トイレと同様に、貯蔵タンクに汚物を溜めることには変わりありません。
そのため、定期的な汲み取り作業は必須となってきます。
通常は汚物のみが溜め込まれる貯蔵タンクですが、簡易水洗トイレは水を流すため、その洗浄水も汚物と一緒にタンクに溜まっていきます。
そのため、リフォームする前よりもタンクが一杯になる頻度が上がってしまうというデメリットが発生します。
汚物の汲み取りには手間だけでなく、費用もかかります。
そのため、汲み取りの頻度が増えるということは、経済的にも圧迫するデメリットもあると言えます。
2つ目のデメリットはニオイです。
メリットでも述べましたが、汲み取り式トイレは悪臭が逆流しやすい構造となっています。
簡易水洗トイレにすることでそのニオイは抑えることができますが、完全になくすことはできません。
その点、水洗トイレは汚物を浄化槽や下水道に流し、溜めておくことがないため、きちんと掃除をしていればニオイの発生を防ぐことができます。
完全にニオイを消したくてリフォームを考えている方には大きなデメリットと言えます。
水洗トイレと比べるとデメリットが重荷に感じるかもしれませんが、汲み取り式トイレと比べると、そのデメリットを覆すほどのメリットも存在します。
自分にとってどの程度デメリットを許容できるかが、リフォームを考える上でのポイントとなります。
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