バキュームカーのホースの重要性
バキュームカーでの汲み取り作業と言えば、ホースを使って行うことは誰でも知るところでしょうが、実際にあのホースの構造や長さのことについて知っているという方はあまりいらっしゃらないでしょう。
実は意外な事実もあったりします。
バキュームカーのホースの重要性
バキュームカーを使って浄化槽から汚水や汚物を回収する作業では、ホースは必要不可欠であるばかりでなく、最も重要な装備であるともいえます。
バキュームカーは、タンク中の圧力を下げて真空に近い状態にして、外気圧との気圧差を利用して汚物を吸引する構造となっています。
このため、吸引時にホースには強い気圧がかかるため、気圧に耐えられる構造にするため、らせん状の針金が埋め込まれています。
また、圧力の都合から、そのホースの長さは一定で適切な長さである必要があります。
昔のバキュームカーは、ホースを車体に巻き付ける形で収納する構造となっており、作業中以外でもホースが外側にむき出しになっていました。
そのイメージからバキュームカーの仕事が「汚い」という印象を持たれた方も多いかと思います。
近年ではバキュームカーの構造も変化し、ホースを車体内部に収納することによってホースが外側から見えにくい構造となっています。
タンクの中も見えない工夫がされており、昔とは大きく印象が変わっていることは間違いありません。
実は2本あるバキュームカーのホース
バキュームカーのホースは1本だと思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
実はバキュームカーには「吸入用」と「排出用」の2本のホースが備わっています。
吸入用は浄化槽の中に入れて汲み取りを行うためのホースで、排出用はタンク内の汚物を排出するために用います。
バキュームカーのホースの長さについて、吸入用のホースは20メートルのものが2本つなぎ合わされており、直径は50mmとなっています。
排出用のホースは長さ4メートル、直径65mmです。
これはバキュームカー本体の大きさに関わらず、すべてのバキュームカーで共通の規格とされており、これ以上の長さでは吸引や排出に支障を来す可能性があります。
スポンサーリンクバキュームカーのホースに付随する装備
バキュームカーにはホースリールが搭載されています。
これは庭の水まき等に使うホースを巻き取っておくホースリールと基本的には同じ構造のものであり、バキュームカーのホースを巻き取り格納するために使います。
リールにはカバーが付いており、ホースを日光や風雨から守る役割があります。
ホースをリールでスムーズに巻き取るために、導入部の役割を果たすリール吸入管というものがついています。
この部分があることによって、ホースリールでホースをスムーズに巻き取ることが可能になっています。
バキュームカーで吸引する汚物には固形物が多く含まれるため、液体と分ける必要があります。
この固形物と液体を仕分ける働きをするパーツをホーストレーナー受けと呼び、バキュームカーにとっては欠かせない部品となっています。
汚物を素早く吸引するために高圧状態を維持するための吸入エルボというパーツもあります。
バキュームカーの心臓部ともいえるのが真空ポンプです。
「バキューム(vacuum)」という名前の指し示す通り、バキュームカーはタンク内を真空に近い状態にすることで外気圧の力でタンクに接続されているホースから汚物をくみ取る仕組みになっています。
タンク内方空気を抜き取り、真空に近い状態とするために使用されるのが真空ポンプです。
このポンプはタンク内の気圧を下げるだけではなく、タンク内に空気を送り込んで加圧し、内部に溜まった汚物をタンクの外に排出することにも利用されます。
バキュームカーの構造上、吸引を行うためにはタンク内の空気を外部に排出しなければいけません。
しかしタンクの中にある空気は当然汚物の悪臭を含んでおり、対策なしに排出してしまえば、周囲に強い悪臭を漂わせてしまいます。
そのため、近年のバキュームカーの多くに、燃焼式の消臭器が装備されています。
これは悪臭を燃焼させて臭いを取り除く仕組みになっており、消臭した空気のみが、車外に排出されるようになっています。
消臭機能はバキュームカーを製造する業者にとって最も力を入れて開発する部分でもあり、燃焼方式だけでも、ガスや軽油などさまざまな方式が考案されています。
潤滑油を使って廃棄される空気を良い匂いに変換するような方式の消臭器も開発されています。
日本で開発されたバキュームカー
バキュームカーが登場した時期には諸説ありますが、神奈川県川崎市で1951年に採用されたという記録が残されており、1950年代には使用されるようになっていたことは間違いありません。
実はバキュームカーは日本で発明されたものです。
単に屎尿回収用としてだけでなく、建設現場や下水道のメンテナンス用、水害時の汚水処理用等、様々な用途で現在では日本のみならず国外でも利用されるようになっています。
今後は下水道の普及率が低い海外で、その需要が高まっていくでしょう。
スポンサーリンク