家の中に入ってくるバキュームカーの臭いの対策
バキュームカーというと、やはり「臭いがキツイ」と思われる方がほとんどではないか思います。
バキュームカーでの汲み取り作業が強烈に臭うのには、バキュームカーの構造に原因があります。
家の中に漂う匂いに対処法はあるのでしょうか?
バキュームカーの汲み取り作業が臭い理由
バキュームカーの「バキューム(vacuum)」とは、英語で「真空」を意味します。
バキュームカーはタンクの中の空気を真空ポンプで抜くことによって、外気との気圧差を利用して便槽のし尿を汲み取る構造となっています。
汚物を溜めるタンクから空気を抜いて排出するために、その臭いもタンクの外に排出されてしまうわけです。
家の中に入ってくる悪臭対策は?
便槽に溜まったし尿の汲み取り作業はどうしても必要なものですが、その悪臭が家の中にまで入ってきてしまうのは困りものです。
自治体によっては家庭のトイレに補助金を出すことで便槽式から浄化槽や下水道方式に切り替える方針を打ち出しているところもあるようですが、借家などの場合は住人が自分の意志で行うこともできません。
また、下水道方式は災害時に下水管の破損等の理由で漏水する恐れもあり、なかなか普及が進みにくい地域もあるという実情も一方であります。
注意点として、他人の家のトイレに苦情を申し立てて強制的に他の方式に替えさせるこということはできません。
便槽式のトイレを使っている家に対し強制的に浄化槽式や下水道式に切り替えさせる法的根拠がなく、便槽式自体が法的に禁止されているものではないからです。
家の中に入ってくる臭いへの対処法は、窓を閉めてなるべく出入りを避け、外気を家の中に入れないようにするしかありません。
消臭剤や芳香剤を使うのもよいでしょう。
悪臭問題に対する別のアプローチとして、役場の担当課に対して地域の汲み取り作業を計画収集にしてもらう、という方法もあります。
汲み取り作業が行われるのが毎月決まった曜日であれば、その日だけ家の出入りや窓の開け閉めに注意すればよいということになります。
地域の自治会などで、共同で役場に陳情するのもよいでしょう。
スポンサーリンクバキュームカー自体の臭い対策も進んでいる
昔のバキュームカーでは、汚物の臭いが運転席に漏れてくることもありましたが、禁煙では技術が進歩し、また周囲環境への配慮の必要性から、悪臭への対策が施されるようになっています。
近年製造されているバキュームカーには排気に含まれる悪臭を除去するための脱臭機が備え付けられています。
脱臭する方式は、主に燃焼式と吸着式があります。
バキュームカーの悪臭は硫化水素と酸性ガスが主成分となっています。
燃焼式脱臭機は、タンク内の空気を排出する際に、この悪臭成分を燃焼によって除去するものです。
吸着式は、ペレット状の吸着素材(主に活性炭)を積載して、悪臭成分を吸着、除去する仕組みになっています。
嗜好品の香りをミックスし、悪臭を抑えるという方法もあります。
悪臭そのものを良い香りにしてしまう潤滑油を利用して臭いを消す方式もあり、バキュームカーに導入されています。
香水は、数十種類に及ぶ香料成分をブレンドして作られますが、実はその中には不快な臭い成分も含まれています。
単体では不快な臭い成分が、ほかの香料のブレンドと合わさることでより良い香りになる効果を生むことができます。(香水効果とも呼ばれます)
それと同じ原理で、バキュームカーの悪臭を良い香りに変換しようというのが、この潤滑油方式です。
前述の「嗜好品の香りをミックスする」ものとは根本的に違う方式です。
この潤滑油には、バキュームカーの悪臭成分が加わることで化学反応を起こし、良い香りに変換する特殊なオイルが含まれています。
この特殊なオイルを含んだ潤滑油を真空ポンプにつかうことで、不快な臭いを除去することが可能になるわけです。
バキュームカーの数は減少している
確かに地域によっては下水道の普及が進んでいないところもありますが、便槽式トイレの数は確実に減少しており、稼働しているバキュームカーの台数も減少する一方となっています。
平成20年度の調査によれば、下水道人口は9241万人に達しており、これは調査時点の日本人の72.7%に該当します。
さらに浄化槽人口は全人口の8.9%に当たる1127万人となっており、合計して日本人の総人口の約85%が便槽式以外の汚水処理を利用していることになります。
1980年代以降になって下水道の普及が一気に進み、その状況を受けてバキュームカーの稼働台数は急激に減少しました。
しかし、地域的な特性の問題から下水道普及が進まない場所では、いまだにバキュームカーが稼働しています。
平成18年の時点で全国で約21000台のバキュームカーが稼働していたというデータがあります。
日本国内ではほとんど見る機会のなくなったバキュームカーですが、今後は下水道の整備が進んでいない海外に普及し、活躍する姿を見る機会が増えていくのかもしれません。
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