水の沸点が99.974℃になった理由

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水というのはとても不思議な物質です。

 

沸騰して気体になると体積が膨張し、液体に戻ると体積も小さくなります。

 

ところが氷点になると凝固して体積がまた大きくなり、浮くことができます。

 

おそらくほとんどの人は学校で沸点は100℃と教わったのではないでしょうか。

 

ところが最近正確には100℃ではないことがわかりました。

水の構造を知ろう

冬になると湖の表面に氷が張ることがあります。

 

寒冷地にお住まいの人なら、よく見慣れた光景です。

 

当たり前に起こる現象ですが、実はまだまだ知られていないことがたくさんあります。

 

まずは水の分子構造を知っておきましょう。

 

化学式では水はH2Oです。

 

これはH(水素原子)が2つ、O(酸素原子)が1つという意味です。

 

酸素と水素が結合すると水が出来上がります。

 

水は液体時には分子がある程度まとまった状態になっています。

 

これが氷点になると分子同士が一気に結合し、氷が出来上がります。

 

氷ができたときの分子の状態は、お互いに手を取り合ってきれいに輪を描いているかのような状態です。

 

この分子構造が湖などの表面に浮く由来なのです。

 

温度が上がるとしっかりと手をつないでいた分子がやがて離れていきます。

 

温度が更に上ると、分子間は更に距離が広がり、自由に動き回れるようになります。

 

これが蒸気になった状態です。

 

蒸気になると固まった状態ではいられなくなり、蒸発して空気中に漂えるようになります。

 

大気中の雲はまさに蒸発したあと目に見える状態になった典型的な事例です。

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沸点を知ろう

すべての物質には沸点があります。

 

目には見えない気体はすべて常温の時点で蒸発しているので、沸点を過ぎているということになります。

 

水の沸点は100℃というのが私たちの既成概念になっていますが、1990年になってからさらに研究が進み、沸点が99.974℃ということがわかりました。

 

99.974℃なら100℃と大差ないと思うかもしれません。

 

確かに普段の生活では99.974℃も100℃も体感的に一緒です。

 

でも、なぜあえて99.974℃なのでしょうか。

 

ところが科学の世界では正確さが求められます。

 

99.974℃と100℃とでは差がわずか0.026℃しかありませんが、それでも、何かを開発する際にはこの温度差がとても重要になってくることがあります。

 

液体を蒸留する過程で、石油をガソリンや灯油などに分離させる際に役立つのがそれぞれの沸点です。

 

正確な数値がわかっているからこそ、より純度の高いガソリンや灯油を生産することができるわけです。

 

この他にもフロンは冷媒としてよく利用されますが、フロンを圧縮して液体にすることにより、冷蔵庫やエアコンが開発されるようになりました。

 

これはひとえに液体の正確な沸点や凝固点を把握しているからこそできるのです。

気体と沸点

ここで気体の話に戻りましょう。

 

何度も話していますが水は99.974℃で沸騰します。

 

99.974℃で沸騰すると分子はそれぞれバラバラに作用する事になり、空間を自由に飛び回れるようになります。

 

ところで99.974℃というのは地上での沸点です。

 

沸騰する温度は気圧によって変わるというのは知っていましたか?

 

登山で標高の高い山に登った場合、99.974℃ではなく地上よりも早くお湯がわきます。

 

これは蒸気圧曲線と呼ばれる計算式で導き出せます。

 

気圧(飽和蒸気圧)が上昇すると蒸気圧曲線も比例して上昇します。

 

ところが気圧が小さくなると蒸気圧曲線もそれに比例して低くなっていきます。

 

3000メートル級の高山の沸点は約70℃ですから99.974℃よりも30℃近く低くなるわけです。

 

この他に面白いのが、砂糖や塩を加えた場合、沸騰する温度が上昇します。

 

これは水の分子以外に他の分子が入ってくることで、分子間の運動に影響ができるためです。

 

自由研究ではいろいろなものを加えてみて沸騰させ、沸点を調べるという研究方法も面白いかもしれません。

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