氷点下を切るという表現は正しい?それとも間違い?
ニュースや天気予報を見ていて時折この表現は本当に正しいのか?と首をかしげたくなる表現が使われることがあります。
その一つが「氷点下を切る」という言葉です。
他にも「氷点下を下回る」といった表現が使われることもあります。
これを聞いて違和感を覚える人が多いです。
氷点下を切るという言葉は本当に正しいのでしょうか。
氷点下の意味を把握しよう
氷点下という言葉の意味をまずは知っておくようにしたいです。
氷点というのは水が凍り始める温度のことで、気温0℃のことを指します。
0℃になるとやがて水は凍っていき、0℃以下になると凍る速度が増していきます。
水たまりの水が全部凍る場合、その時の温度は0℃以下です。
このように0℃以下の温度を氷点下と呼びます。
氷点下を切るというのは間違い
氷点より下ということですから、すでにこの時点で氷点を下回るもしくは切っていることになります。
だとすれば、「氷点下を切る」や「氷点下を下回る」という表現は二重表現だということになるわけです。
例えば「頭痛が痛い」という言葉を聞くとだれもがこれは間違っていると答えることでしょう。
同じように「氷点下を切る」や「氷点下を下回る」という表現も二重表現になるので誤った使い方ということになるのです。
氷点下は定義化されている
ちなみに氷点下を切るという言葉がおかしいと言える別の理由として、氷点下はすでに定義化されているということです。
温度計で0℃以下になれば氷点下ですから、氷点下を切るというのではなく、外気温が0℃を下回った、あるいは0℃を切ったと表現すれば違和感はありません。
スポンサーリンクこれは日本語の表現方法の違いなのですが、気にする人は気にするので、気をつけて使うことをおすすめします。
氷点下を切るという言葉を何気なく使ってしまうと、例えばニュースキャスターや気象予報士であれば、視聴者からのクレームに直面することになります。
視聴者はニュースキャスターや気象予報士の言葉遣いを本人が意識する以上にしっかり聞いている場合が多いです。
ちょっとした言葉の間違いでも、テレビに出る以上は正しい言葉を使うべきだと考える人が多いのです。
この「氷点下を切る」という表現について類似する表現に炎天下という言葉があります。
炎天下という言葉は灼熱の太陽に照らされる状態を指しますが、夏になって温度が上昇するときに今日は炎天下だという表現を使うことがあります。
この場合気をつけたいのが炎天下の中とか炎天下の下といった表現です。
「炎天下の下」という表現は「氷点下を切る」という言葉によく似ています。
炎天下の下というのは重複表現です。
それぞれを切って考えてみると、炎天下というのは炎天+下という単語から成り立っています。
つまり炎天下の下というのは炎天+下+の+下ということで、二重表現になるのです。
「炎天の中」もしくは「炎天下」を単独で使用するのが正しい方法です。
先程の氷点下を切るという表現に戻りましょう。
氷点下を切るというのは間違いだと言うことはわかりましたが、なぜ天気予報では氷点下という表現を使うのでしょうか。
氷点下以外にも零下やマイナスといった表現もあるので、これらの表現を使うこともできるのでしょうか。
新聞やテレビの天気予報では、共通して氷点下という言葉が使用されています。
もちろん他の表現を使うこともありますが、気象関係の表現は基本的に氷点下を使用するのが常になっています。
マイナスと言う表現は文字数が多いということもあり、新聞ではあえて使用していないのではないかという説もあります。
零下という言葉を使用しないというのにも理由があります。
零下は冷夏と同じ発音です。
天気予報を耳にする側が冷夏と零下を混同してしまうことがないように、配慮されているため、天気予報では零下という表現は極力使わないようになっています。
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