凝固点の計測で用いられるグルコース水溶液って何?グルコースの特徴もチェック

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凝固点降下に関する実験や論文を見ていると、必ずと言ってよいほど題材として用いられているのが「グルコース水溶液」です。

 

では、グルコース水溶液とはいったいどのような性質を持った水溶液なのでしょうか。

 

また、グルコースの特徴や、グルコース水溶液が融点・凝固点の実験においてこれほど頻繁に用いられているのはいったいなぜなのか、という点についても考察していきましょう。

グルコース水溶液とはブドウ糖を含む水溶液のこと

グルコースとは、炭水化物の1つで、自然界にも豊富に存在しています。
「ブドウ糖」としても知られており、化学式は「C6H12O6」と表記されます。

 

グルコースの分子量は180です。

 

グルコースは人体においてエネルギー源として顕著な役割を果たしており、筋肉や内臓、脳などが正常に機能する上でグルコースの働きは不可欠です。

 

グルコースを豊富に含む食材としては、パンやお米、ジャガイモやサツマイモなどが挙げられるでしょう。

 

グルコースは甘味成分としてもさまざまな食品に使用されています。

 

特に、グルコースの高い水溶性を生かして、スポーツドリンクや清涼飲料水にも頻繁に用いられています。

 

成分表示を見ると「ブドウ糖果糖液糖」という記載を見つけることができるでしょう。

 

ですから、多くの清涼飲料水は実質的にグルコース水溶液であるということができるわけです。

 

ただし、グルコースが血中内で多くなり、運動などによってそれが十分に消費されないと、体はエネルギー源として脂肪に変換し体内に蓄積してしまいます。

 

ですから、過剰なグルコースの摂取は肥満の原因となってしまうのです。

 

また、食後などにグルコースの値が急上昇する「グルコース・スパイク」は、糖尿病のリスクを高めるだけでなく、心不全や心筋梗塞などの原因として注目されています。

グルコース水溶液は凝固点降下を観察しやすい

化学の実験および検証において用いられるグルコース水溶液は、蒸留水に一定濃度のグルコースを溶かしたものです。

 

凝固点降下の実験では、頻繁にグルコース水溶液が用いられています。

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その主な理由としては、溶質による凝固点降下を観測しやすいという点が挙げられるでしょう。

 

グルコース水溶液の「濃度」を変化させることで凝固点降下にどのような影響を及ぼすのか、あるいはグルコースの「質量」と凝固点降下の関係性についてもかなり正確に観測することができることから、さまざまな論文において活用されているというわけです。

 

加えて、非常に入手が容易な溶質であるという点も評価されている要因でしょう。

塩化ナトリウムも実験で利用されることが多い

グルコース水溶液と同様に、凝固点降下の実験で頻繁に用いられるのが「塩化ナトリウム水溶液」です。

 

化学式は「NaCl」で、食品として取り扱いされている塩化ナトリウムは「食塩」と呼ばれます。

 

塩化ナトリウム水溶液も凝固点降下の相関関係を観察しやすい物質とされており、グルコース水溶液の実験結果と比較した検証が行われることも珍しくありません。

 

また、塩化ナトリウムは試薬として安全性が高く、安価で入手が容易であるという点も魅力です。

 

加えて、塩化ナトリウム水溶液は非常に安定しており、周囲からの影響を受けにくいという特徴があります。

 

ですから、凝固点降下の正確な計測および検証を行うという点でまさに適切な特性を持った物質なのです。

 

塩化ナトリウム水溶液はグルコース水溶液と比べて凝固点降下が非常に大きいとされています。

 

実際、塩化ナトリウム水溶液を凝固させるためには、水分をマイナス20度前後まで冷却しなければなりません。

 

そのため、豪雪地帯と呼ばれる地域では、冬期になると塩化ナトリウムが路面の凍結防止剤として広く使用されています。

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