ウォッシャー液やクーラントの働きを理解するカギは「凝固点」にあり!
自動車のメンテナンス用グッズを見ると、エンジンやパワーステアリング用など多種多様なオイルの他に、ウォッシャー液やクーラント液などのリキッドも並んでいます。
これらのメンテナンス用リキッドがなぜ必要なのかを理解するためのカギは「凝固点」という言葉です。
では、ウォッシャー液やクーラント液の働きについて詳しく考察してみましょう。
ウインドーウォッシャー液の目的は凍結回避
ウォッシャー液はメタノールと界面活性剤および防錆剤で構成されています。
メタノールの原液は凝固点がマイナス100度前後で、自然環境においては凍結する恐れがほぼないというメリットがあるため、ウォッシャー液に利用されているのです。
一般的に販売されているウォッシャー液はエタノールの配合率が10%前後で、これを真水と1対1の割合で混ぜ合わせて使用すると、凝固点はマイナス2度前後となります。
ただし、冷え込みが非常に厳しい地方では、ウォッシャー液をそのままタンクへ補充するとよいでしょう。
そうすると、凝固点はマイナス6度から7度程度になるので、凍結のリスクはかなり低くなります。
ウォッシャー液の代わりに水道の水を入れるという人は少なくありません。
とはいえ、純水に近い水道水は0度で凍結してしまいます。
そのため、寒い地方で冬場などに使用すると水分が凍結して膨張し、タンクやチューブなどを破損してしまう可能性があるのです。
ですから、寒冷地で水道水をウォッシャー液の代用として使用するというのはおすすめできません。
また、水道水にはカルキなどが含まれており、パイプやフィルターの詰まりを起こしてしまうというリスクが常に付きまといます。
ですから、暖かい地方で利用する車であっても、水道水ではなくきちんとしたウインドーウォッシャー液を使用することをおすすめします。
スポンサーリンククーラント液も凝固点降下を利用している
「不凍液」あるいは「LLC」とも呼ばれるクーラント液には、「エチレングリコール」という成分が配合されており、これによりラジエーター内部で循環している液体の凝固点を調整することが可能となっています。
純水と1対1の分量で混ぜると、凝固点はマイナス30度前後になるので、非常に寒さが厳しい地方であっても、凍結によるトラブルの心配はまずありません。
また、水の量が若干クーラント液より多くなったとしても、凝固点はそれほど大きく変動しないというメリットがあります。
クーラント液がないからという理由で水道水だけを入れてしまうのは危険です。
というのも、クーラント液による凝固点の変化が一切ないと、気温が氷点下になった時点でラジエーターやエンジン内における凍結が起きてしまい、そのまま水分が膨張してパーツを破壊してしまうからです。
また、カルキによる内部の詰まりが起きてオーバーヒートを引き起こす可能性もありますから、基本的にはクーラント液の常時利用がおすすめです。
環境に合わせた希釈率の調整をしよう
クーラント液とは異なり、ウインドーウォッシャー液はエタノールの濃度が異なる複数のタイプが販売されています。
市販されているもので最も濃度が高いものは配合率40%前後です。
このウォッシャー液をそのままタンクへ補充すると、マイナス35度前後まで凝固点が降下するので、まず凍結の心配はないと言えるでしょう。
もちろん、原液のまま補充することで、タンクや配管などが破損するリスクはほぼありません。
純水と1対1の割合で混ぜ合わせた場合の凝固点はマイナス14度前後となります。
寒冷地と呼ばれる場所でウォッシャー液を補充する場合には、例年の冷え込みがどれくらいかを確認したうえで配合する割合を調整しましょう。
また、古いウォッシャー液がタンクに残っている場合には、それを抜いてきれいに洗浄してから新しいウォッシャー液を補充するとよいでしょう。
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