融点の低い物質特集!融点が一番低いものは何か?
自然界に存在する物質は、昇華してしまう一部の例外を除き、基本的に融点や沸点があります。
これらは物質のユニークな特徴であり、その特性を生かして身の回りにあるいろいろな製品が作られています。
では、融点が一番低い物質とはいったい何でしょうか。
また、金属の中で融点が一番低い物質やその特徴などにも注目してみましょう。
融点が一番低い物質は「ヘリウム」
融点が一番低い物質として知られているのはヘリウムです。
ヘリウムは元素記号「He」で表記される非金属元素の1つで、融点はマイナス272.2度とされています。
ただし、通常の1気圧という環境下では、どれほど冷却しても固体になることができません。
固体となる条件としては、26気圧以上という特殊な条件を満たす必要があります。
ですから、化学の文献では大抵「ヘリウムは条件付きとして融点が一番低い」という注釈が添えられているケースがほとんどです。
ヘリウムは分子構造がとても小さく質量も軽いため、気球や風船などに充填して用いられることが少なくありません。
また、ヘリウムは無臭であることに加えて毒性がないことから、PCなどの工業用、およびMRIなど医療の現場でも広く活用されています。
加えて、融点が一番低いという特性を生かして、超低温のロケット用液体燃料を効率よく燃焼させるための補助剤としても使用されているのです。
「ネオン」や「水素」なども融点が低い
1気圧の条件下で融点が一番低いのは水素でしょう。
元素記号「H」の水素はマイナス259度で融解します。
他の元素と結びつきやすいのも特徴であり、酸素と化合した水はその際立った例と言うことができるでしょう。
スポンサーリンク水素は燃料としての効率が良いことに加えて、化石燃料のように燃焼することに伴う二酸化炭素の排出がありません。
そのため、新たな燃料資源として世界中から注目を浴びている気体なのです。
また、融点が一番低いヘリウムと同じく、気体そのものの質量が非常に軽いという特徴もあり、その利点を生かした工業への利用および転用が期待されています。
他には、融点がマイナス248度のネオン、マイナス218度の酸素やマイナス210度の窒素なども挙げられます。
いずれも一番低いヘリウムとは異なり、1気圧の環境において融解が確認できるという特徴があります。
特に、ネオンは他の一般的な気体とは異なり単原子分子で安定しており、他の元素と接触しても変化しにくい強みがあるため、大規模な電飾やプラズマモニターの他に、正確かつ適量の照射がカギとなるレーシック手術用のレーザーなどにも活用されているのです。
金属に限定するなら「水銀」
金属の中で融点が一番低いのは水銀です。元素記号は「Hg」で、融点はマイナス38.9度となっています。
つまり、常温では常に固体ではなく液体の状態ということが分かります。
この特性を持っているのは、数ある金属の中でも水銀だけです。
水銀は融点が一番低いということに加えて、他の物質と反応しやすく加工しやすいという特徴もあります。
そのため、硫化水銀や酸化水銀を始めとする化合物が様々な工業用品や日用品に用いられています。体温計や血圧計、蛍光灯などは代表的な製品ということができるでしょう。
ただし、それらの化合物の中には、殺菌剤に使用されるメチル水銀など強い毒性を持つものもあるため、取り扱いには常に細心の注意が必要です。
また、水銀は水中で分解されないだけでなく、魚などの生物が摂取することによって破壊的な影響を及ぼす可能性があります。
ですから、水銀化合物を使用している製品に関しては、耐用年数を常に念頭に置いておくと同時に、処分をする際には地方自治体の定めるルールに従って処理をするという点を忘れないようにしましょう。
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