石灰水は単体か化合物か?混合物なの?

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水酸化カルシウムの飽和水溶液として知られている石灰水は、二酸化炭素を加えると炭酸カルシウムを発生させて白濁するという特徴を持っています。

 

この水溶液は、単体、それとも化合物なのでしょうか?
また、複数の物質が混ざっている混合物なのでしょうか?

石灰水は混合物

石灰水というのは、石灰、つまり水酸化カルシウムを水に溶いて水溶液にした状態のことを呼んでいます。

 

水酸化カルシウムだけなら混合物ではありませんが、水と混ぜているので、石灰水は混合物と分類することができます。

 

ちなみに、混合物の定義は、異なる複数の物質をお互いに混ぜ合わせているというもので、混ぜた時に化学反応を起こしていない状態のことを混合物と呼んでいます。

 

例えば、分子式H2Oで表記できる水は、水という物質以外に何も混ざっていないので、これは混合物にはなりません。

 

しかし、水に砂糖とか塩を混ぜて砂糖水とか食塩水を作ると、それらは複数の物質が混ざっているということなので、混合物に分類することができます。

 

石灰水の場合にも、水という純物質に、水酸化カルシウムという物質を溶かして作られているので、混合物と言えます。

石灰水は単体なのか、それとも化合物なのか?

単体と化合物との違いは、単体は一つの分子だけで作られているのに対し、化合物というのは複数の分子が化学反応を起こして別の物質として完成しているという点があります。

 

例えば、分子O2と表記される酸素は、酸素分子Oのみで作られている物質なので、これは単体となります。

 

一方、H2Oと表記される水の場合には、水素分子Hと酸素分子Oが化学反応によって作り出されている物質なので、化合物に分類することができます。

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石灰水の場合には、水酸化カルシウムと水という二つの物質が混ざり合っている混合物ですが、水酸化カルシウムは化学式Ca(Oh)2と表記できます。

 

つまり、複数の分子が化学反応によって完成している物質なので、石灰水の原料となっている水酸化カルシウムは単体ではなくて化合物と言えます。

 

また、水酸化カルシウムが溶け込んでいる水はH2Oと表記され、こちらも単体ではなく複数の分子の結合によって作られている化合物と言うことになります。

 

水酸化カルシウムが水に溶けている状態ですが、これは、水酸化カルシウムが溶けることによって形状が変わっているというだけで、水酸化カルシウムの性質そのものが変化しているわけでもなければ、水と結合して別の物質を作り出しているというわけでもありません。

 

つまり、石灰水は、水酸化カルシウムと水という二つの単体ではない化合物を混ぜ合わせて作られている混合物と定義することができます。

石灰水はどんな所に使われている?

石灰水の組成の一つとなっている水酸化カルシウムは、常温では粉末の状態をしています。
この物質には強い塩基性があり、微生物の繁殖を抑える作用があります。

 

歴史の中では、ヨーロッパでペストなどの感染症が流行した時には、水酸化カルシウムを自宅に撒くという対策が取られました。

 

今日でも、インフルエンザや豚コレラなどの感染症予防のために水酸化カルシウムは消石灰という形で利用されることが少なくありません。

 

また、単体ではなく化合物である水酸化カルシウムは、強いアルカリ性を持っています。

 

そのため、河川が酸化した場合などには、石灰水を入れて水質を中和する際に使われることもあります。

 

水酸化カルシウムは強い塩基性があるものの、水に溶けると石灰水として水が白濁するだけで、劇薬指定を受けるような毒性があるわけではありません。

 

石灰水が単体なのか化合物なのか、という点を知らなくても、普段の生活の中で困ることは少ないものです。

 

しかし、石灰水が水酸化カルシウムと水の混合物と言うことを知っていれば、生活の中で役に立つことがあるかもしれません。

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