青緑色が美しい青銅は、純物質か混合物か?

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元素記号でCuと表記される銅には、いろいろな種類があり、青銅もその一種です。

 

この銅にはどのような特性があるのでしょうか。

 

また、他の物質が混ざっていない純物質に分類できるのでしょうか、それとも複数の純物質が混ざり合っている混合物なのでしょうか。

10円玉硬貨に使われている青銅

銅という物質は、元素記号Cuで表記される単体です。

 

そのため、銅は他に何も物質が混ざり込んでいない純物質ですし、化学反応によってほかの元素と結合しているわけではない単体の純物質と分類することができます。

 

しかし銅にはいくつかの種類があり、青銅もその一種です。

 

これらは、純物質の銅という金属に別の金属を混ぜて作られた合金という位置づけとなるため、純物質ではなくて混合物と分類するのが適しています。

 

青銅は、純物質の銅を主成分としている金属で、そこに錫(すず)を混ぜ合わせている合金です。

 

錫は元素記号でSnと表記されてる元素です。

 

元素記号Cuの銅とSnの錫を混ぜているということは、化学反応を起こして銅でも錫でもない別の化合物となっているのかとイメージする人がいるかもしれませんが、青銅の場合には、そうではありません。

 

銅という単体と、錫という単体を混ぜあわせて合金を作り出しているため、化合物という純物質ではなくて単体同士が混ざり合った混合物と言うことになります。

 

ちなみに、私達が普段使っている10円玉の硬貨には、青銅が使われています。

 

硬貨はそれぞれ、どの金属がどのぐらい含まれているかという点が規定されているのですが、10円玉硬貨の場合には、銅が95%、錫が1%〜2%、そしてその他に亜鉛が3%〜4%を含んでいる合金となっています。

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青銅の特徴と性質

10円玉硬貨を見ても分かるように、私達の周囲にある青銅は、一般的には単体の銅と見た目が大きく変わることはありません。

 

しかしこの物質が持っている色味は、本来は茶色というよりは青味のある合金です。

 

銅は、どんな成分と混ぜ合わせて合金にするかによって、色が微妙に異なるという性質があります。

 

例えば、10円玉の場合には、銅に錫を混ぜている他、亜鉛も混ぜているので色味としては赤っぽい褐色になっていますし、もっと錫の量を増やしていくと黄色味が強くなって黄金色に近づきます。

 

そして、銅よりも錫の量の方が多くなると、茶色っぽさが薄れてシルバー色となっていきます。

 

青銅が持つ青っぽい光沢は、空気中の酸素に触れて少しずつ酸化されていることで起こる現象でもあります。

 

この物質が酸化すると、化学反応を起こして炭酸塩を作り出しますが、この炭酸塩の色が青緑色なのです。

 

そのため、空気に長く触れている歴史的な青銅となると、かなり青緑色が強い色となります。

 

青緑色というと表面についているカビをイメージする人がいるかもしれません。

 

しかし、青銅の青緑色は、化学反応によるものなので、物質の表面をいくら掃除しても青味を取り除くことはできません。

 

ちなみに、オリンピックで使われている銅メダルは、他の物質が一切混ざっていない純物質の銅というわけではなく、混合物となる青銅が使われていることが多いという特徴があります。

日本人の歴史と共に歩んできた金属

純物質ではなく混合物に分類される青銅は、日本人の歴史においては紀元前4世紀ごろに九州地方へ伝えられたのが始まりと言われています。

 

鉄と同じように、この物質も元は大陸から輸入されていましたが、紀元前1世紀あたりからは日本国内で生産されるようになり、その技術は東アジア諸国の中でもかなり高かったようです。

 

同じ金属でも、鉄はより実用的な道具として使われることが多かったのですが、青銅は経年による美しい光沢や色味のためでしょうか、祭器として使われることが多かったようです。

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