生産管理におけるSTとは?その目的は?
製造工場の現場では、他の業界ではあまり使われない専門用語がいくつもあります。
そのうちの一つに「ST」と呼ばれるものがあります。
特に生産管理の現場では非常に良く用いられる用語ですので、正確に覚えておきましょう。
また、このSTが現場においてどのような意味を持つのか、どのように活用していったら良いのかも知ることが大事です。
生産プロセスに必要なSTとはどんな意味?
STとは「Standard Time」の略で標準時間という意味があります。
これは、特定の作業を開始し終了するまでの時間の基準となるもので、このSTよりも作業時間がかかってしまっている場合は、生産ラインの効率が落ちている、何らかのトラブルが発生していることを示すものとなります。
具体的には、標準の作業方法を用いて、標準の条件の下で、標準的なスキルを持った作業員が作業を行った場合に所定のプロセスを終了できる時間に、ふさわしい割合の余裕を持たせた時間をプラスしたものがSTとされます。
つまり、高めの目標値として達成すべき数値として掲げるものではなく、平均的な数値という意味合いを持ちます。
適正な条件がすべて揃っていれば、確実に達成できる基準でもあります。
そして、実際に現場においてかかっている作業時間の測定時間を確認して平均を取った数値ということでもなく、標準化された条件で行うのであればこの時間で終了できるという、客観的な基準となります。
スポンサーリンク標準時間の目的と用い方
STにはいくつかの目的がありますが、まず工程計画を立てるに当たって基準とするために用います。
現場に求められる設備や人員の配置数を決めるために、標準時間に間に合うように計画をします。
また、それぞれの作業者の1日あたりの作業量を決めるという目的もあります。
さらに、生産管理のためにも用います。
ST通りに生産がなされているか、そうでなければどこに問題があるのかをチェックして、生産ラインの改善を行っていきます。
また、作業者の評定にも用いることがあります。
STを基準とした平均的な作業量よりも実績が高いかどうかで評価をして、賃金査定などをすることができます。
さらに、原価見積もりや最終的な販売価格の決定の際にも、平均的な生産コストを考えるために使えます。
STはこのように様々な目的で用いられますので、初めに絶対的な基準として正確に決定しなければなりません。
その上で、常に実際の作業時間とSTとの差を見て、効率がどのように変動しているかを確認します。
これにより生産管理を明確な基準を基にして行えるようになるのです。
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