振込をさせていただきますは、正しい敬語なのか
インターネットオークション、インターネット通販などで何かを購入して、銀行振込を利用する場合は「振込をさせていただきます」「お振込させていただきます」といったフレーズがよく使われます。
この「振込をさせていただきます」という表現は敬語として正しいかの判断が分かれやすく、「お振込をさせていただきます」という表現はさらによくありません。
「振込をさせていただきます」は正しいか
どちらもしっかりと敬語が成立しているように感じられるかもしれませんが、前者の問題は「させていたきます」の部分です。
「させていただく」というフレーズに対して違和感を覚えるという意見はインターネット上でもよく見られるものの、正しい謙譲語であり、間違った表現ではありません。
ただし、「させていただく」というフレーズは、相手の許可が必要な時に使われます。
たとえば、体調が悪くて早退したい場面では、相手の許可も必要なので「体調が悪いので早退させていただきます」という表現は正しいのです。
しかし、会議の場で「説明させていただきます」という言葉を使うのは正しくありません。
発言すること自体に許可をもらわないといけない場合はともかく、基本的には会議で説明することに許可をもらう必要はないため、全く的外れではないものの、正しくないのです。
スポンサーリンク銀行振込の場合、先方からの「この口座に振り込んでください」という依頼を、許可と感じる人もいれば、許可のような大げさなものではないと感じる人もいるため、非常に判断に困るところです。
ビジネスで銀行振込の依頼があれば「させていただく」でも大丈夫ですが、プライベートで使う場合は違和感を持たれやすい言い回しでしょう。
「お振込をさせていただきます」の問題
「お振込をさせていただきます」の場合、「させていただきます」の部分の問題に加えて、二重敬語の問題があります。
二重敬語は使われていても見逃されていたり、問題があることに気づかれなかったりするケースも多いものの、正しい敬語表現ではありません。
「させていただきます」という部分は謙譲語ですが、文頭の「お」も行動を謙譲語にする効果があります。
「お届けします」「ご説明します」が謙譲語となるように、冒頭に「お」や「ご」が付くと謙譲語として扱われるのです。
つまり、「お振込」という言葉を使った場合、「お振込」の部分と「させていただきます」の部分の2つで謙譲語があるため、二重敬語に当たります。
振込をする場合の正しい敬語表現は、シンプルに感じられるかもしれませんが、「振込いたします」か「お振込します」で大丈夫です。
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