博士課程修了者の就職と年収は?
大学には学士・修士・博士の3つの課程がありますが、今の日本では博士課程まで進む人はあまり多くありません。
その理由としては就職にまつわることが大半です。
博士課程は就職に不利なのか?どんな就職先があるのか?博士課程を修了することで年収は増えるのか?などなど、博士課程を目指している人たちが懸念しているのはどんなことでしょう。
博士課程は就職活動に不利?
大学4年、修士課程でさらに2年、そして順調にいけば博士課程は3年、つまり就職活動を始める頃には最短でも27歳になっています。
ですが、この博士課程3年というのも、あくまで研究と論文が順調に進めばの話で、実際には5年、6年とかかる人もいます。
そうなれば、新卒者として就職活動を開始したときにはすでに30歳目前です。
学部卒であろうと博士課程修了であろうと、入社後は全員そろってゼロからのスタートとなります。
当然、企業側としては「若い方が教育しやすく、柔軟に何でも吸収してくれる」と考え、学部卒を優先して採りたがるのです。
それに、いかに素晴らしい研究をしてどんなに苦労して論文を書き上げたのだとしても、その研究に関する専門知識を活かせる職場というのはごく限られており、結果として知識を持て余すのが現実です。
さらに、給与も大きなネックになります。
ご存じのように、企業が人材募集をかける際、高卒・大卒によって給与に差をつけています。
当然、博士課程修了者に対しては給与をさらに高く設定する必要があります。
するとどうでしょう。
若くない、専門知識を活かす場がない、給与は高い…企業側にとって、できるだけ採りたくない人材なのです。
スポンサーリンクどのような就職先があるのか?
一般企業以外で、一体どんな職場なら博士課程で得た知識を活かせるのかといえば、やはり大学の研究室が中心になります。
しかし、日本では研究者や大学教授のポストは多くありません。
そのうえ、すでに任期を終えた人たちがなかなか辞めたがらないという状態が続いており、ますますポストが減ってきています。
いわゆる「ポスドク問題」です。
そうなれば、一般企業への就職を考えるしかありません。
しかし、先ほども述べたように、「新卒者として採用するには歳をとりすぎている」「専門知識を活用してもらえる場がない」「給与が高い」という理由で、企業からは敬遠されてしまうのです。
実際、博士課程修了者の約2割が就職できないというデータもあります。
博士課程修了者の年収はどのくらい?
大学で働く博士研究員の平均年収はだいたい300万前後、高い人でも500-600万だと言われています。
年収アップするにはやはり助教授や教授になることで、助教授になれば年収700万程度、教授職なら年収1000万円くらいには手が届くかもしれません。
しかし、多くのライバルがこの少ないポストを競い合うため、道のりは険しいと言わざるを得ません。
ストレートで博士課程まで終え、運よく新卒で研究職に就けたとしても、その時点で27歳です。
大卒者であればすでに何度か昇給して、人によっては昇進し、役職手当などももらっているでしょう。
大卒の彼らの年収と比較すると、どうしても年収で下回ってしまうことは否めません。
年収よりもやりがいを重視するという覚悟を決める必要がありそうです。
優先するのは就職か?研究か?
結論として、博士課程への進学は「大学や研究機関で好きな研究が続けられるなら年収は気にしない」という人には、特に大きな問題はないでしょう。
しかし、「一般企業へ就職して安定した生活を送りたい」と思うのであれば、できるだけ早く就職活動を始めた方が無難と言えます。
きちんと優先順位を整理し、いずれを選んだにしても、自身の選択に覚悟を持って取り組むべきです。
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