質なのか、量なのか。博士課程の修了要件に必要な論文数の目安とは
大学に進学し、更に大学院に進んだ学生には、順当に行けば2つの進路が現れます。
1つは大学院を卒業・修士卒として就職する道、もう1つは博士課程に進み、その分野について更なる研究・知見を深めていく道です。
後者の博士課程に進んだ場合、3〜6年間はその専門分野の研究に勤しむ事になります。
そしてこの道を選んだ場合、最終的に目指すのが「博士課程を修了し、博士号を取得する事」になります。
修士号や博士号は「上位学位」といい、大学院は優秀な成績だった学生にこうした上級学位を付与する為の機関です。
博士課程の修了要件とは
一般的に大学院に進んだ場合、大学のように「卒業」するのではなく、修士課程、博士課程を「修了」という呼び方になります。
しかし、この修士課程・博士課程を「修了」する=修士号・博士号を取得出来る、とは限りません。
修士課程・博士課程の修了要件に必要な全単位を取得した上で修士号・博士号の取得にはその大学院で研究した成果を論文として、規定の論文数で提出しなければなりません。
博士課程の修了要件を満たせない場合
規定年限中に修了要件に必要な単位を取得できない、論文数が満たない、あるいは論文が完成しても学位要件に必要な論文掲載が不可だったなど、修了要件が満たせない事があります。
研究を続けるなら単位取得退学をし、博士号が取れるまで研究室に残る、という方法があります。
大学には「研究生」として在籍する事が可能です。
大学自体は退学してしまっているので学位の取得は出来ません。
しかし院生と同じ研究室で研究を続けることが可能で、院生が受ける試験や単位取得等もありません。
院生の授業料よりも研究生費が安いので経済的負担は減る事もメリットの1つです。
ただし、研究生の扱い自体は大学、学部や学科、研究室ごとにも異なります。
大学院へ進めなかった人が研究生となるパターンもあれば、大学院を修了した上で研究生となる人もいます。
無給の研究員としての研究生もいれば、予算に余裕のある研究室では技術補佐員として雇い、給料が支払われる事もあります。
スポンサーリンクまた、単位取得退学後に、経済的な理由から就職した上で博士号取得をする事も理屈の上では可能です。
ただし、就労状況や研究の熱意が薄れる等、多くの場合は途中で研究を止めてしまうケースが多くあります。
博士号取得するならば、やはり大学院の在籍中が理想であり、事実上取得しやすい道筋です。
博士課程の論文数の目安とは
博士課程の修了要件となる論文数は、大学や分野によって異なります。
ある大学では博士号を取得するのに必要な論文数は「最低で」3本、内訳は査定論文が1本、その他の紀要が2本という規定があります。
またある大学では第一著者の原著論文1本、ある大学では第一著者の論文+邦文の学位論文が必要、という修了要件も存在しています。
早い段階から「自分の研究分野ではどういった論文が修了要件に必要なのか」、可能ならば大学院に入った時点で研究室の先輩や教務課に聞いておきましょう。
どの大学院であれ、規定の論文数を出さなければ修了要件を満たせないという点だけは確実です。
基本的には論文数そのものよりも質が重視され、最も重要な事は指導教授が「提出していい」と判断するかどうかの点です。
将来どこかに就職する際の提出論文にも含まれます。
修了要件となる論文数の目安についてはもう1つ、学位取得後の身の振り方も考えるべきです。
学位取得後に企業就職をするならば、論文数は規定分だけ書き上げて、早めに就職活動に入りましょう。
学位という強みこそあれ、企業就職は年齢が上がる程不利になります。
逆に、その研究に関する研究職を目指すならば、論文数の多さが身を助ける事もあります。
審査あり論文を積極的に書いていきましょう。
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