博士課程の中退者は多い?少ない?

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博士課程を中退する人はいるのでしょうか?

 

普通に考えてみれば、せっかく長い間努力してきてやっと博士課程に入れたのに、途中で辞めるなんてもったいない…と思いがちですが、博士課程でも中退する人は一定数いるのです。

 

そして、彼らが中退を選んだのにはもちろん、それなりの理由と背景があるのです。

学位が上がるほど中退率も上がる

文部科学省に調べによると、博士課程の中退者は5.4%です。

 

これは学部の2.6%、修士課程の3.1%を大幅に上回っており、かなり多い数字といっていいでしょう。

 

5.4%というと、実に20人に1人以上が博士課程を辞めているのです。

 

学士、修士、博士と学位が上がるほどに中退率が増えてきている理由としては、年齢が上がるにつれ、就職の選択肢が狭まってくることが一因と考えられます。

 

また、博士課程修了者は基本的には研究職に就くことを目標にしていたはずですが、いざ博士課程で研究を始めてみると、「研究に適性がない」「研究分野に興味を失った」とか、逆に「研究分野以外に興味が出てきた」「一般企業で働きたくなった」など、自身の適性をあらためて認識したり、ほかにやりたいことが出てきたりして、心に変化が現れ、辞めたいと考える人が多いようです。

特に多い博士課程の中退の理由

中退の理由としては、学業不振、転学、病気・ケガ・海外留学などが挙がっていますが、一番多いのは、先述したような就職問題です。

 

博士課程全体では、中退者の2割強が就職問題を理由にして中退しています。

 

博士課程在籍者はすでに修士号を取得しているため、企業や研究機関で研究者として働くための十分な知識を有していると言えます。

 

つまり、博士課程で中退しても「自分は世間からは修士号として扱われるので、研究などに関する仕事に就きやすい」と考えます。

 

そして、「それならば、少しでも若いうちに就職した方がよい就職先が見つかる可能性が高いだろう」ということで、博士課程半ばであっても辞めることを決意するようです。

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次に多いのは、経済的な理由です。

 

博士課程は通常3年ですが、学生が目指すであろう博士号の取得は狭き門です。

 

3年で修了することができず、4年5年、中には年限ギリギリの6年在籍する人も珍しくありません。

 

ですが、25歳を過ぎても親の援助を受け続けられる人はそう多いわけではありません。

 

また、博士課程の学生は、研究に忙しくてアルバイトをする時間はありません。

 

確かに奨学金を借りることはできますが、それも少し問題があります。

 

先ほども述べたように、博士課程修了者の就職は簡単ではないのです。

 

そして、それは年齢だけが原因ではありません。

 

実は、博士号のブランドは海外では専門性の高い人材として非常に重宝され、待遇面でも優遇されるのですが、日本ではあまり評価されないのが実情です。

 

専門的すぎる知識が一般企業では即戦力として使えず、持て余してしまう、と企業が考えるからです。

 

すると、就職できない、または仕事に就けたとしても不安定なポジションで低い収入しか得られず、奨学金の返済が家計を圧迫することになりかねない、そう将来を懸念して中退する人がいるようです。 

まとめ

博士課程の中退者が意外と多いと感じたのではないでしょうか。

 

しかも、学士、修士、博士と学位が上がるほどに中退者が多いのです。

 

博士号取得はとても高い壁です。

 

そうして苦労して博士号を取ったにも関わらず、年齢のせいで企業への就職が難しい、博士号の称号のおかげで逆に企業に敬遠される、そんな理由から辞めてしまう学生が多いのはなんとも皮肉な話です。

 

博士課程の中退者が多いのは、日本の教育システムにも起因しているところがあるのかもしれません。

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