卒業ではダメ?単位は取得しての中退では?博士課程にまつわる最終学歴の言い方
3月に行われる、その学校で学ぶ期間を終えた証明として行われる区切り、それが卒業です。
義務教育である小中、その先の高校・大学での「卒業」に対し、博士課程を得る大学院においては「修了」という言い方になります。
友達や家族の会話の中で「大学院を卒業した」という言い方でも問題ありませんが、目上の人や改まった場、書類での表記を「大学院卒業」としてしまうのは問題が生じてしまう場合もあります。
卒業と修了には、れっきとした意味の違いが存在しています。
「卒業」と「修了」の違いとは
辞書上で見る違いでは、卒業は「その学校における全工程を学び終える事」「学業を終えて、その学校を離れる事」となっています。
それに対し、修了は「学業において一定の過程を修め終える事」「一定の学業、その過程を終える事」となっています。
卒業が学び終えた上で学校から離れる事を指すのに対し、修了は学び終える事を指しても、学校を離れる事については言及がありません。
この違いは、大学と大学院における「卒業」「修了」の言い方の違いに関わってきます。
文部科学省が定めた基準において、修士課程・博士課程を終える事が修了と定められています。
まず、卒業を使う大学です。
必要な単位を取得し、学位を取る=その学校で学びたい過程を追えて学校を離れるので、卒業が適しています。
次に大学院です。
大学院で取得できる上位学位には修士号(博士課程前期)と博士号(博士課程後期)があります。
どちらの学位も論文の審査に合格する事で取得できますが、教授の指導の元、大学院での在籍中に取得出来る事が多い修士号に対し、博士号は自力で研究した上で論文審査、論文の質共に規定や基準が厳しくなります。
その為、大学院に学籍を置いている期間中に取れる人は少なく、大学院の学籍がない状態で研究生として取得する人が多くいます。
修士課程は修了したが、次の博士課程が取得できずに大学院を離れる際の表記は「修士課程 修了」、そして「博士課程 単位取得退学」となります。
スポンサーリンク博士課程の修了=卒業という言い方はNG?
ややこしい話になりましたが、ごく簡単に分けるならば、大学までは卒業、大学院からは修了、と覚えておけばまず間違いありません。
この言い方を間違えてしまうと、主に履歴書といった学歴を記述する際に問題が生じます。
学歴欄で大学の入学・卒業の年月を記述するように、大学院の入学・修了についても記述が必要です。
修士課程の入学・修了、そして大学院自体を変えていなくても博士課程に進んだ場合はその入学・修了、もしくは単位取得退学と記入します。
ケースに応じて異なる学歴上の言い方
履歴書の、特に最終学歴について、大学院においては様々な言い方が生じてきます。
例えば修士課程を修了した後、博士課程を修了しない=博士号を取得できずに、修業年限が経過してしまったとします。
必要な単位を全て取得できずにそのまま大学院を離れる場合、博士課程は「中退」や「退学」となります。
必要な単位を全て取得出来ていれば「単位取得退学」「単位取得修了」「満期退学」となります。
表記上はこのように分かれますが、いずれも意味としては大きな違いはありません。
そして単位を取得していたとしても、博士号の無い修了では博士課程修了と見なされません。
最終学歴の言い方は「修士課程修了」が適切となります。
学歴の言い方を正しく理解しておく事で、履歴書やエントリーシートでの記入は勿論、応募資格に適っているかどうかも判断しやすくなります。
また大学院を中退・退学した場合も単位取得退学であったのかどうかで、持たれる印象は異なります。
たかが言い方ひとつと思わずに、正確な把握をしておきましょう。
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