貸借対照表で棚卸資産がマイナスに?!その理由と解決策
貸借対照表で、棚卸資産がマイナスになることがあります。
通常マイナスになることはあり得ませんが、そうなってしまうのはなぜでしょうか。
また、訂正は可能か、可能であればどのようにすればいいでしょうか。
棚卸資産とは
棚卸資産はいわゆる在庫のことで、会社が販売目的で一時的に保有しているものです。
小売業であれば、すぐに販売できる商品や製品、作りかけの商品や製品である仕掛品、原材料などが棚卸資産になります。
販売するものが土地や建物であれば、それも棚卸資産です。
棚卸資産は、賃借対照表では資産の部の流動資産になります。
棚卸資産の明細は、棚卸表を作成して保存します。
保存期間は、青色申告で7年、白色申告なら5年間です。
売掛帳や買掛帳などの帳簿書類も保存します。
期末商品棚卸高と期首商品棚卸高
期末商品棚卸高とは、会計年度末日の決算日における在庫のことで、前期に売れ残った在庫ということです。
期首商品棚卸高は、期首時点の在庫のことです。
前期の期末商品棚卸高は、当期の期首商品棚卸高でもあります。
スポンサーリンク貸借対照表で棚卸資産がマイナスになる理由
棚卸資産がマイナスになる例の1つは、創業初年度の決算書の作成と関係があります。
期首商品棚卸高は期首時点の在庫のことですから、創業して初めての決算の場合は期末商品棚卸高は「0」になります。
前期からの在庫がないからです。
創業の際に個人所有のものを事業用に用いた場合、それは元入金で処理すべきものです。
ところが、その金額を期首商品棚卸高に入れてしまうと、棚卸資産がマイナスになってしまいます。
期首商品棚卸高を「0」にして元入金で処理していれば、貸借対照表で棚卸残高がマイナスになることはなかったということです。
決算書の訂正
マイナスになっていることに後から気づいた場合は訂正したいわけですが、企業会計では当年度の決算書で修正することは認められていません。
それで、過年度の正しい決算書を作るか、過年度の処理が正しかったものとして当年度の決算書を作成するという方法で対処します。
金額が大きくない場合や中小企業の場合は、当年度の決算書で修正することが認められています。
ただし、提出して年度締めをしたものは確定されていますので、さかのぼって修正することができません。
そこで、今期の日付で修正仕訳を作ります。
会計ソフトなら訂正するメニューがあるので、それを選択して元入金と棚卸資産を訂正します。
なお、決算修正を行って税額に不足が生じるとか、欠損額や還付税額が過大になる時は、修正申告が必要になります。
スポンサーリンク