「宜しくお願い奉り候」の読み方と意味とは
私達が普段会話で使用している言葉は、時代によって様々な変化を遂げてきました。
現在、昔の「言葉に触れる機会があるとすれば、それらの言葉を使用した文献や時代劇のセリフなどくらいでしょう。
使用されなくなって久しい言葉たちも、知識としてしておいて損はありません。
今回は、時代劇の中でも登場しやすい「奉り候」の読み方や意味についての知識を深めていきましょう。
この言葉は「宜しくお願い」という言葉とともに使用されるので、それと合わせた「よろしくお願い奉り候」を例に見ていきます。
「奉り候」の読み方とは
「宜しくお願い奉り候」の「奉り候」は「たてまつりそうろう」と読みます。
この「奉り候」という言葉は江戸時代によく使用されていた言葉で、「奉る」と「候」という言葉によって構成されています。
ちなみに、「候」という言葉には送り仮名が付き、「候う」や「候ふ」と表記される場合もあります。
「宜しくお願い奉り候」の意味
「奉る」の意味は大きく分けると3つあり、1つ目は「やる」や「贈る」の尊敬語で、目上の方に対して「献上する」という意味です。
スポンサーリンク2つ目は「食う」や「飲む」の尊敬語で、その動作を受ける側の目上の方を主として、「召し上がる」と言う意味となります。
そして、3つ目は謙譲の表現である補助動詞としての意味合いで、「申し上げる」となります。
続いて、「候」の意味合いです。
候は、「居る」や「有る」の丁寧語としての意味と、「です」「ます」などのように語尾につける丁寧語としての意味合いがあります。
どちらも現代においては使用されることはほとんどありませんが、時代小説や時代劇の中で目にしたり耳にしたりすることはあるでしょう。
この両者の意味から考えると、「宜しくお願い奉り候」の「奉り候」は、「奉る」の3つ目の意味と「候」の後者の意味が重なってできた、「申し上げます」という意味が適当となります。
つまり、「宜しくお願い奉り候」は、「よろしくお願いします」をとても丁寧な言い方にした「よろしくお願い申し上げます」という意味となるのです。
ビジネスシーンでは使用を避けるのが無難
丁寧さの度合いとしては目上の方に使用しても全然問題ないのですが、時代錯誤な感じが拭えず、場合によってはふざけているのかと勘違いされてしまう可能性があります。
冒頭で述べたとおり、言葉は時代によって変化していくものですから、その時代にきちんと合ったものを使用するのがマナーです。
ビジネスシーンなどでは使用を避け、知識としてそういった表現があることを知っている程度に留めておきましょう。
スポンサーリンク