「ご来店いただく・ご来店くださる」の正しい使い方は?
『ご来店いただきまして、誠にありがとうございます。』と、レストランやホテルのクルーが接客している光景を見ることがあります。
また『ご来店くださいまして』と迎え入れる店舗もあります。
どちらも感謝の気持ちがこもった歓迎の言葉ではありますが、この「ご来店いただく」と「ご来店くださる」では、一体どちらが正しい敬語表現になるのでしょうか?
そもそもいただく・くださるの意味とは?
まず「ご来店いただく」ですが、これは「もらう」という語の謙譲語で、相手から何か物品や行為を受け取るときに使う敬語表現です。
つまり、自分を低くする謙譲表現になります。
一方、「ご来店くださる」は「くれる」という言葉の尊敬語で、相手が自分に物品や行為を与える時に使う敬語表現となります。
こちらは相手を高める敬語表現です。
ここでポイントとなるのが、その文章の主語です。
相手が主語になる文章では尊敬語を使うのが基本です。
決して謙譲語を使って相手を低くしてはいけません。
スポンサーリンク反対に自分が主語の場合は謙譲語を使います。
自分を高める尊敬語を使うのは相手に失礼に当たります。
ビジネス敬語もまた、相手と自分があってのやり取りですから、主語が誰になるかで尊敬語と謙譲語を適切に使い分けなければなりません。
誰の行為に対して感謝しているのかを考えて敬語を選ぶ
では、お客様が来店した時の出迎えの言葉ですが、『ご来店〇〇まして、誠にありがとうございます。』の〇〇に当てはまる言葉などうなるでしょうか?
正解は『ご来店くださいまして、誠にありがとうございます。』です。
来店したのはお客様なので、ここは尊敬語を使います。
主語や目的語を省略しない文章にしますと、ご来店の主語は来客だとわかるでしょう。
『客が当店に来店してくれて・・・』という内容の文章になります。
ですから、「くれる」の尊敬語である「くださる」を使って、『ご来店くださいまして、誠にありがとうございます。』と言って、慇懃にお迎えするのが正しいです。
ただし、『ご来店いただきまして』を使う場面もあります。
それは当店が主語になる表現の場合です。
たとえば、開店のあいさつで、集まった来賓の方々に向かってトークをする場合がそれにあたります。
『本日はお忙しい中、わざわざご来店いただきまして、誠にありがとうございます。』ということがあるでしょう。
当店は、お客様に来店してもらって、感謝するという意味ですから、尊敬語の「いただく」を使います。
このように敬語表現は間違えずに使ってこそ、ビジネスマナーを全うすることになりますので、しっかり使っていきましょう。
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