「ご利用くださいませ」は正しい敬語か?どんな場面で使うべきか?
『ご利用くださいませ』といって、相手に商品やサービスを薦めることはよくあるでしょう。
お店の店員やイベント会場のスタッフなどは、自社製品をアピールしたあと、このようにさりげなく勧誘します。
ですが、この言葉はビジネス敬語として正しいのでしょうか?
他に適した言葉はないでしょうか?
「ご利用くださいませ」の意味と敬語について
まず、「ご利用くださいませ」という言葉は、「利用」して「くれ」+「しろ」との単語で成り立っていて、意味としては「利用してくれ」ということになります。
なお、「ください」はくれの謙譲語で、「ませ」は「ます」の命令形の丁寧語と、文意としては「役に立つのでぜひ利用しなさい」ということになります。
そこで、この言葉の文法上の正誤ですが、「利用してくれ」という言葉を敬語表現しているという点では正しい日本語です。
ですが、「ご利用くださいませ」と言うとき、その人は「利用してほしい・役立ててほしい」という気持ちを込めて、勧誘表現として使っています。
つまり、ここに多少のギャップがあることは否めません。
本来であれば「ご利用ください」で意味が伝わるところ、それでは命令口調が出てしまい、しつけの感じがあります。
スポンサーリンクそこで、「ませ」と嘆願をあらわす丁寧語を付け足して、表現を柔らかくさせているにすぎません。
この「お(ご)〜くださいませ」はビジネスシーンでは頻繁に使われる言葉で、慣れ親しんだ感じがあるでしょう。
そのために、ビジネストークに頻繁に使いがちですが、比較的にくだけた言い回しであることを理解しておきましょう。
厳格な取引の現場や、上司や目上の取引相手に仕事の話をする際は、もっと丁寧で的確な言い回しがあります。
「ご利用くださいませ」は場合によって失礼になる
この言葉が命令口調であるということを考えますと、いくら敬語を重ねて柔らかな表現にしていても、目上の人や上司に対しては使う場面に慎重になる必要があるでしょう。
また、ビジネス敬語としても、この「ご利用くださいませ」を社内メールや付き合いの深い取引先へのメール、かしこまらない会話にとどめていることから、TPOを意識して使い分けるようにおすすめします。
そこで、目上の人や公の場面やかしこまった場面では、『ご利用いただければと存じます』や『ご利用いただきたく存じます』と言い換えると良いかもしれません。
意味は『利用してもらえたらと思います』となって、相手の意思を尊重するセールストークに変わります。
命令口調を嘆願口調に変えることで、どなたにも使える言葉となります。
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