簿記で知っておきたい家賃前払いの仕訳とは?

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基本的に、賃貸物件の家賃は前払いのシステムとなっています。

 

引き落とし日は不動産管理業者ごとに若干の違いはありますが、例えば9月分を支払う場合には、多くの場合には8月31日など前月末となり、支払いの際にはは9月1日分から30日分を前払いします。

 

この前払いという仕組みは、簿記においてはどのように仕訳たら良いのでしょうか?

簿記では家賃前払いの扱いはどうする?

個人が借りている賃貸物件なら、特に簿記の仕訳を意識しなくても、家賃を前払いして家計簿にそのように記載すれば、問題ないでしょう。

 

しかし法人の場合には、事情が大きく異なります。

 

簿記においては、一定期間ごとに決算が必要となり、期間内の収入や支出を項目ごとに仕訳を行います。

 

家賃の前払いでは、実際の支払い期間よりも前に支払っています。

 

同一の決算期間内なら、大きな問題はないでしょう。

 

しかし、実際に支払った日と、その賃料がカバーする期間がずれてしまう場合には、簿記ではどのように処理するのが良いのでしょうか?

 

例えば、ある企業の決算日が12月31日だとします。

 

この企業が4月1日の時点で1年間分の家賃を前払いで支払ったとしましょう。

 

仮に1カ月当たりの賃料を1万円とすると、12か月分となる12万円を、4月1日に支払うことになります。

 

この家賃の前払いにおいては、同一決算期となる12月いっぱいまでの9か月分9万円と、決算日以降の賃料3万円とで、簿記の処理方法が異なるのではないか、と不安に感じる経理担当者は少なくありません。

 

簿記においては、前払いした家賃は、決算日以降のものに関しても勘定項目を使って全額を計上しなければいけません。

 

そして、決算日がやってきたら、当期分の家賃ではない残り3ヶ月分を当期分の費用から減らし、翌期の費用として計上する作業が必要となります。

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簿記における具体的な処理方法

簿記の仕訳において、具体的にどのように仕分けたら良いのかを説明しましょう。

 

まず、家賃の前払いをした時点で、借方には支払い家賃の12万円、そして貸方には現金12万円と計上します。

 

そして、決算日がやってきたら、当期分に該当しない3万円に対して、借方には前払い家賃として計上し、貸方には支払い家賃として計上します。

 

この作業をする事で、当期分の家賃支払い分は、12万円から3万円を引いた実質9万円となります。

 

決算期をまたぐ家賃の前払いでは、翌期に入ってからも処理が必要となります。

 

新しい期間に入ったら、前期の支払家賃分3万円を借方とし、貸方には前払い家賃として振り替えます。

 

イメージとしては、決算日に行った処理とは逆の仕訳をすれば良いわけです。

 

この仕訳方法は、簿記においては再振替仕訳と呼ばれています。

 

ちなみに、前払いする費用は、家賃だけではありません。

 

他にも、保険料や地代などがあります。

 

費用の目的や種類は違っても、簿記における考え方は同じなので、これらの項目に対しても再振替仕訳をしましょう。

簿記の再振替仕訳はこんなところにも活用できます

簿記における再振替仕訳は、長期間分の費用をまとめて前払いしたり、また収益を前受け取りで受け取るなど、様々なシーンで活用できます。

 

費用を支払う場合でも、収益を受け取る場合でも、前払いで期をまたぐ場合には、再振替仕訳の作業が必要となります。

 

作業はそれほど難しくはないので、覚えておくと間違えることなく正確な仕訳ができるでしょう。

 

ちなみに、簿記の勘定科目においては、支払った費用に関しては、資産が増加したということで仕訳では借方に分類します。

 

一方、収益のように得た費用に関しては、収益も負債も仕訳では貸方に分類します。

 

ややこしい部分ですが、覚えておきましょう。

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