試作品材料費はどの勘定科目に入る?研究開発費の会計処理や注意点について
各業界で同業者との差をつけるためには新たな製品やサービスの開発が欠かせません。
とは言え従来にはなかった製品やサービスを提供するためには長い時間をかけ調査研究をし、試行錯誤を繰り返す必要があります。
簡単に言えば「試作品」を何度も作って「これぞ!」と思える製品やサービスに到達しなければならないのです。
このため、試作品作成に多額の費用が掛かる場合もあり、会計上どの勘定科目に分類されるのか、取り扱いに悩んでしまう人もいるようです。
試作品材料費(研究開発費)とは
そもそも試作品材料費(研究開発費)とは、定義上「新しい製品・サービス・生産方法を開発するためにかかった費用」で、これには「ゼロから新しく生み出した製品・サービス」と、「従来からあった既製品に著しい改良を加えて新たに生まれ変わった製品・サービス」の2種類が含まれます。
全く新しい製品だけでなく、既存の製品であっても大きく改良し従来のものとはかなり違う製品となった場合も、その改良開発のための材料費は「研究開発費」とみなされるわけですね。
試作品の材料費はどの勘定科目に入る?
研究開発費は、通常の製品やサービスのような原価性がないため、会計処理の際には「一般管理費」として処理されるのが一般的です。
スポンサーリンクただし、試作品の材料費も製造費用に一括して含めている場合には「当期製造費用」とし、試作品材料費であることを明示するために新たに「研究開発費」という勘定科目を設定しても良いとされています。
また「一般管理費」とする場合には注記を作成することが求められます。
例えば研究開発に人件費や消耗品費用、減価償却費などが関係している場合には、これらを全て注記しなければなりません。
研究開発費処理に関する注意点
前述の通り研究開発費とはあくまで「従来の製品とは大きく異なる新しい製品」ですから、例えば既存の製品にわずかな変更点を加えただけのものや、他から取り入れた技術を利用して自社で新たに作った製品などは「研究開発費」には含まれません。
また研究開発費は原則としてその開発が行われた期間内に会計処理しなければなりませんが、開発を外注した場合は「委託開発研究費」となり、処理のタイミングに注意する必要があります。
というのも、外注する側としては委託したその時点で費用が発生するものと思いがちですが、実際には委託開発研究費の場合は経理上、自社がその成果を受け取って検収した時点で費用が発生するとみなされるからです。
従って依頼に際して先に支払った費用は「前渡金」とし、「委託開発研究費」は検収時に会計処理する必要があるのです。
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